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陸運(物流)

売上1.6〜2.6兆円のNX・ヤマト・SG —— 宅配・トラック・総合物流が同じ「陸運」に並ぶ

荷物を運ぶ会社は、ヤマトのような宅配便、セイノー・福山通運のような路線トラック、 NIPPON EXPRESS・山九のような総合物流(倉庫・海外輸送まで)など、稼ぎ方がさまざま。 ネット通販の拡大で荷物は増える一方、運転手の労働時間規制(2024年問題)など供給側の制約が業績・料金に影響する。 東証の「陸運業」には鉄道会社も含まれるが、鉄道は別テーマで扱う。下表は各社の全社連結。

各社の全社連結(横断比較)

数値は各社の最新の全社連結(有報ベース)で、当該業界の事業“単独”ではない。 決算期は会社ごとに異なる(最新を含む期: 2026年3月期 前後)。

セグメント別(主戦場/非主戦場)

各社の事業別セグメント売上・利益。この業界の主戦場に当たるセグメントには主戦場を付けています。主戦場が見当たらない会社は、その事業が独立セグメントとして開示されていない(=全社の一部に埋もれている)ことを意味します。

NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社主戦場側

セグメント(事業別)売上高営業利益設備投資減価償却セグメント間取引構成比
日本1.22兆円445億円471億円1170億円380億円47.5%
Europe5138億円48億円88億円284億円141億円20.0%
Distribution Support3269億円161億円67億円87億円1198億円12.7%
East Asia1476億円57億円11億円79億円182億円5.7%
South Asia And Oceania1290億円33億円60億円109億円264億円5.0%
米州1214億円58億円46億円117億円166億円4.7%
Security Transportation686億円25億円24億円51億円9億円2.7%
Heavy Haulage And Construction451億円53億円14億円21億円35億円1.8%
セグメント別の売上高など、有報のセグメント情報注記から抽出(事業別)。構成比は売上高に占める各セグメントの割合(セグメント間取引・調整前)。会計基準やタグ付けにより取得できる科目は会社ごとに異なります。

日本(1兆2,224億円)に次いで欧州(5,138億円)が大きい。12月決算。

ヤマトホールディングス株式会社主戦場側

この会社は当該期の収録データに事業別セグメントの売上・利益が含まれていません。

売上1兆8,657億円(2026年3月期)。

SGホールディングス株式会社主戦場側

セグメント(事業別)売上高営業利益資産設備投資減価償却構成比
デリバリー(宅配)主戦場1.05兆円701億円7081億円654億円255億円66.0%
グローバルロジスティクス主戦場3216億円1億円3089億円23億円91億円20.2%
ロジスティクス主戦場2028億円63億円2592億円115億円103億円12.8%
不動産154億円104億円685億円21億円11億円1.0%
セグメント別の売上高など、有報のセグメント情報注記から抽出(事業別)。構成比は売上高に占める各セグメントの割合(セグメント間取引・調整前)。会計基準やタグ付けにより取得できる科目は会社ごとに異なります。

デリバリー(宅配)が売上の過半。グローバルロジスティクス・ロジスティクスが続く。

センコーグループホールディングス株式会社主戦場側

この会社は当該期の収録データに事業別セグメントの売上・利益が含まれていません。

売上8,996億円(2026年3月期)。

セイノーホールディングス株式会社主戦場側

この会社は当該期の収録データに事業別セグメントの売上・利益が含まれていません。

売上8,130億円(2026年3月期)。

山九株式会社主戦場側

この会社は当該期の収録データに事業別セグメントの売上・利益が含まれていません。

売上6,316億円(2026年3月期)。

SBSホールディングス株式会社主戦場側

この会社は当該期の収録データに事業別セグメントの売上・利益が含まれていません。

売上4,903億円(2025年12月期)。12月決算。

鴻池運輸株式会社主戦場側

この会社は当該期の収録データに事業別セグメントの売上・利益が含まれていません。

売上3,556億円(2026年3月期)。

福山通運株式会社主戦場側

この会社は当該期の収録データに事業別セグメントの売上・利益が含まれていません。

売上3,186億円(2026年3月期)。

ニッコンホールディングス株式会社主戦場側

この会社は当該期の収録データに事業別セグメントの売上・利益が含まれていません。

売上2,699億円(2026年3月期)。

AZ-COM丸和ホールディングス株式会社主戦場側

この会社は当該期の収録データに事業別セグメントの売上・利益が含まれていません。

売上2,305億円(2026年3月期)。

世界の状況

日本の上場企業だけでは業界の全体像は見えない。世界の主要プレイヤーを並べると、 この業界で日本勢がどの位置にいるのかが分かる。棒の長さは規模(売上・総資産・台数など)の目安。

① 世界の物流大手と日本の大手:各社の売上(原文値・通貨も決算期もそのまま)

世界のフォワーダー・宅配大手と、日本の NX・ヤマト・SG の連結売上を、各社が公表した原文の数字で並べました。通貨も決算期もそろっていないため、換算や順位づけはしていません。

#プレイヤー売上(原文値)決算期
1DHL Group(ドイツ)
82,855百万ユーロ
2025年12月期(Revenue。前期 84,186百万ユーロ、DHL 記載の前期比 -1.6%)
2DSV(デンマーク)
247,331百万デンマーク・クローネ
2025年12月期(Revenue。前期 167,106百万DKK。Schenker 取得完了は 2025-04-30)
3UPS(米国)
88,661百万米ドル
2025年12月期(Revenue。前期 91,070百万米ドル)
4FedEx(米国)
94,720百万米ドル
2026年5月期(2025/6〜2026/5。Consolidated revenue。前期 87,926百万米ドル)
5Kuehne+Nagel(スイス)
24,476百万スイスフラン
2025年12月期(Net turnover。前期 24,802百万CHF)
6NIPPON EXPRESS ホールディングス日本
2,574,826百万円
2025年12月期(売上収益・IFRS。前期 2,577,643百万円、前期比 △0.1%)
7ヤマトホールディングス日本
1,865,675百万円
2026年3月期(営業収益。前期 1,762,696百万円、前期比 5.8%)
8SGホールディングス日本
1,644,762百万円
2026年3月期(営業収益。前期 1,479,239百万円、前期比 11.2%)
通貨(ユーロ・デンマーク・クローネ・米ドル・スイスフラン・円)と決算期(12月期/3月期/FedEx は5月期)が異なるため、換算も順位づけもしていません。 売上の呼び名と範囲は各社の定義のままです(Revenue/Net turnover/売上収益/営業収益)。会計基準も IFRS・米国基準・日本基準が混在しています。 DSV の 2025年12月期は、Schenker を 2025-04-30 の取得完了後から含みます。 出典: 各社公表資料(DHL Group・DSV・SEC 提出の UPS/FedEx 10-K・Kuehne+Nagel・NX HD・ヤマト HD・SGHD 決算短信)

② 国内の宅配便取扱個数の推移(国土交通省)

国土交通省が宅配便運賃を届け出ている事業者から集めた、全国の宅配便の取扱個数です。令和2〜6年度の5年分を、同省の表の値のまま載せます。

#プレイヤー宅配便取扱個数(原文値)年度
1令和2年度(2020年度)
4,836百万個
トラック 4,785/航空等利用運送 52(百万個)
2令和3年度(2021年度)
4,953百万個
前年度比 102.4%(前年度=100)。トラック 4,882/航空等 71(百万個)
3令和4年度(2022年度)
5,006百万個
前年度比 101.1%。トラック 4,925/航空等 81(百万個)
4令和5年度(2023年度)
5,007百万個
前年度比 100.0%。トラック 4,914/航空等 93(百万個)
5令和6年度(2024年度)
5,031百万個
前年度比 100.5%。トラック 4,926/航空等利用運送 105(百万個)
宅配便は「重量30kg以下の一口一個の貨物を特別な名称を付して運送するもの」で、事業者からの任意報告を同じ便名ごとに集計したものです。 「ネコポス」と日本郵便の「ゆうパケット」は宅配便として集計されます(ゆうパケットは平成28年10月から。それ以前はメール便)。 日本郵便は航空等利用運送の宅配便もトラックに含めて集計しています。令和7年度(2025年度)分は未確認です。 出典: 国土交通省 物流・自動車局「令和6年度 宅配便・メール便取扱実績について」(令和7年8月27日)および関係資料

業界の変遷(年表)

いまの勢力図がどう出来上がったのか。主要な出来事を時系列で並べる。各行の「出典」は発表元の一次資料へのリンク。

  1. 1976-01

    ヤマト運輸が「宅急便」を発売した。関東一円を対象に、電話1本で家庭まで集荷に伺う商品として、1976年1月20日に始まった。

    出典: ヤマトグループ創業100周年サイト「宅急便誕生」
  2. 1990-12

    貨物自動車運送事業法が施行された(貨物運送取扱事業法と合わせて「いわゆる物流二法」)。トラック事業の参入は免許制から許可制に、運賃・料金は認可制から事前届出制に変わった。

    出典: 国土交通省「トラック事業に関する事業規制の推移」(資料4)
  3. 2003-04

    改正貨物自動車運送事業法が施行された。営業区域の規制が廃止され、最低車両台数は全国一律5両に、運賃・料金は事後届出(30日以内)になった。

    出典: 国土交通省「トラック事業に関する事業規制の推移」(資料4)
  4. 2006-03

    SGホールディングス株式会社が設立され、純粋持株会社体制に移行した。同年6月に佐川急便が子会社10社の株式を SGHD に移管した。

    出典: SGホールディングス「沿革」(英語版)
  5. 2017-04

    ヤマトHDが、社員の労働時間の実態調査で新たに認識した労働時間に対する一時金を計上した。2017年3月期の連結貸借対照表に「特別給付賃金引当金」15,129百万円が計上された。

    出典: ヤマトHD 平成29年3月期決算短信(平成29年4月28日)
  6. 2017-04

    ヤマト運輸が2017年度「デリバリー事業の構造改革」を決定した。内容は、社員の労働環境の改善と整備、宅急便の総量コントロール、ネットワーク全体の最適化、ラストワンマイルネットワークの強化、宅急便の基本運賃と各サービス規格の改定の5点。

    出典: ヤマトHD ニュースリリース(平成29年4月28日)
  7. 2017-10

    ヤマト運輸が宅急便の基本運賃を改定した(2017年5月19日発表)。サイズに応じて、現行運賃(税抜き)に140円から180円を加算した。

    出典: ヤマトHD ニュースリリース(平成29年5月19日)
  8. 2020-04

    トラック事業者が自社の適正な運賃を算出し、荷主との運賃交渉に臨むときの参考指標として、「標準的運賃」制度が創設された(令和2年4月告示)。

    出典: 国土交通省「『標準的運賃』等の見直しについて」
  9. 2022-01

    NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社が1月4日に設立され、日本通運グループは持株会社体制に移行した。同時にグループブランド「NX」を導入し、グループ名を「日本通運グループ」から「NXグループ」に改めた。

    出典: NIPPON EXPRESSホールディングス ニュースリリース(2022/01/04)
  10. 2023-06

    「我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議」が「物流革新に向けた政策パッケージ」を決定した(6月2日)。何も対策を講じなければ、輸送力が2024年度に14%、2030年度に34%不足する可能性があるとしている。

    出典: 国土交通省「物流革新に向けた政策パッケージについて」(令和5年6月2日 関係閣僚会議)
  11. 2023-06

    日本郵政・日本郵便・ヤマトHD・ヤマト運輸が、物流の社会課題解決に向けた協業の基本合意書を締結した(6月19日)。ヤマト運輸のクロネコDM便を2024年1月31日に終了して日本郵便の「ゆうメール」を使う新サービスに切り替え、「ネコポス」は2023年10月から順次終了して「ゆうパケット」を使う新サービスに切り替える内容。

    出典: ヤマトHD ニュースリリース(2023年6月19日)
  12. 2024-03

    国土交通省が「標準的運賃」を告示改正した(3月22日)。運賃表の改定で平均約8%の運賃引上げとし、荷待ち・荷役の対価の標準水準や、元請が下請けに出す際の「下請け手数料」(運賃の10%を別に収受)を設定した。

    出典: 国土交通省「『標準的運賃』等の見直しについて」
  13. 2024-04

    トラックなど自動車運転の業務に、時間外労働の上限規制が適用された。特別条項付き36協定を結ぶ場合の年間の時間外労働の上限は年960時間で、一般の労働者の規制の一部は適用されない。

    出典: 厚生労働省「建設業・ドライバー・医師等の時間外労働の上限規制」
  14. 2024-05

    「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律」(令和6年法律第23号)が公布された(5月15日)。法律名は「物資の流通の効率化に関する法律」に変わった。2025年4月1日に一部を除いて施行され、特定事業者への中長期計画の作成などの義務は2026年4月1日施行とされた。

    出典: 国土交通省「物流効率化法について」/同「閣議決定」報道発表(令和7年8月5日)
  15. 2025-06

    「貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律」(令和7年法律第60号)と「貨物自動車運送事業の適正化のための体制の整備等の推進に関する法律」(令和7年法律第61号)、いわゆるトラック適正化二法が公布された(6月11日)。トラック事業者の許可の更新制や、国土交通大臣が定める「適正原価」を下回る運賃・料金の制限などが盛り込まれた。

    出典: 国土交通省「トラック適正化二法について」

よくある質問

陸運(物流)業界の主な上場企業はどこですか?

陸運(物流)業界の主な上場企業には、NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社、ヤマトホールディングス株式会社、SGホールディングス株式会社、センコーグループホールディングス株式会社、セイノーホールディングス株式会社、山九株式会社、SBSホールディングス株式会社、鴻池運輸株式会社、福山通運株式会社、ニッコンホールディングス株式会社、AZ-COM丸和ホールディングス株式会社があります(日本国内の上場企業ベース)。

陸運(物流)業界の世界の主要プレイヤーはどこですか?

① 世界の物流大手と日本の大手:各社の売上(原文値・通貨も決算期もそのまま)によると、DHL Group(ドイツ)(82,855百万ユーロ)、DSV(デンマーク)(247,331百万デンマーク・クローネ)、UPS(米国)(88,661百万米ドル)、FedEx(米国)(94,720百万米ドル)、Kuehne+Nagel(スイス)(24,476百万スイスフラン)が挙げられます。