株式会社ウイルコホールディングスは2026年10月15日の取締役会で、完全子会社である鈴木出版株式会社に対して保有する貸付金および売掛債権の全額、864百万円を放棄することを決議した。出版市場を取り巻く事業環境の変化により同社の営業損失が続き、債務超過の状態が継続していたことから、債権回収は困難と判断したための措置となる。
鈴木出版は東京都千代田区に本社を置き、1954年設立、資本金66百万円。絵本・児童書・仏教書・幼児教育図書の出版や、幼児教育関連教材・知育玩具・文具等の製作販売を手がける。ウイルコHDが議決権を100%保有し、取締役2名・監査役1名が兼任するほか、資金の貸付や商取引の関係がある。同社の連結純資産は2023年10月期の△373百万円から2025年10月期には△633百万円まで悪化し、売上高も884百万円から684百万円へ減少、営業損益は3期連続で120〜140百万円規模の損失が続いていた。
今回の債権放棄は、こうした鈴木出版の財務悪化と回収困難性を踏まえ、同社の過剰債務状態を整理する目的で実施されたものと位置づけられる。出版業界を取り巻く需要構造の変化が、グループ内の子会社経営にも影響を及ぼしていたことがうかがえる。
ウイルコHDの個別決算では、本件により既存の貸倒引当金・関係会社事業損失引当金を充当した上で、これを上回る部分について特別損失を計上する見込みで、概算額は約200百万円とされる。一方、親会社側の損失と子会社側で生じる債務免除益は連結決算上相殺消去されるため、連結業績への影響は軽微と見込まれている。会計処理の詳細は精査中で、必要に応じ追加開示される予定。